# すれ違いの恋、再会の瞬間
春の学校は新しい風が吹き始め、桜の花が舞い散る中で、森田修斗は少し不安を抱えていた。新学期が始まったばかりなのに、彼にとって特別な存在である佐藤俊介の姿が見当たらないのだ。
「まさか、もう卒業しちゃったのかな……?」
彼は心の中でつぶやきながら、友人たちに囲まれて教室に入る。しかし、気持ちは晴れない。高校一年生の時に仲良くなった佐藤先輩。その明るさと、さりげない優しさは、修斗にとって大きな支えだった。
「おい、修斗!またそんな顔してると、俺たちが心配するぞ!」
友人の片岡が大袈裟に肩を叩く。彼は元気な性格で、いつも修斗の心の動きを察しては冗談を飛ばして笑わせる役割を担っていた。
「うるさいな、片岡。ちょっと考えごとをしてただけだよ。」
修斗は笑顔で返すが、心の中では佐藤先輩のことが気にかかっていた。先輩はどこに行ったのだろう?あの笑顔をもう一度見たいな……。
そんな修斗の想いは、部活の帰り道に思わぬ形で実を結ぶことになる。
「おい、修斗!久しぶり!」
ある日、部活が終わった帰り道、ふと目の前に現れたのは、まさにその佐藤先輩だった。驚きと嬉しさが交錯する瞬間、修斗の心臓は大きく跳ねた。
「先輩!本当に久しぶりです!」
修斗は手を振り、笑顔を浮かべる。再会の瞬間、先輩も嬉しそうに笑っていた。
「どうしてだか、最近お前の顔を見なくて。新しい部活でもやってるのか?」
その言葉に、修斗は心の中に薄い霧が晴れていくのを感じた。心が温かくなると同時に、少しの緊張も混じっていた。
「実は、今テニス部に入ったんです。先輩も、元気にしてたんですか?」
「もちろん。サッカー部で走り回ってたからな。お前も一緒に練習するか?」
その問いに、修斗は思わず目を輝かせた。佐藤先輩と一緒に練習できるチャンスだ。心の中で小さくガッツポーズをする。
「はい、是非!」
それから、彼らの距離は少しずつ縮まっていく。部活の後、二人でテニスをし、他愛のない会話を交わす時間が増えていった。笑顔に包まれた日々は、心の奥に甘くてあたたかい記憶を刻んでいく。
「なあ、修斗。最近また暇じゃないか?」
ある日の練習後、佐藤先輩がふとした瞬間に言った。修斗はその言葉にドキリとしながら、心の中で反芻する。
「え?どういうことですか?」
「お前、テニス部の練習時間だけじゃなくて、たまに俺と遊んでくれるって考えてたんだ。」
その言葉には思わぬ期待が込められているように感じた。これって、もしかして……?
「先輩、私、一緒に遊びたいです!」
修斗は必死に声を上げた。すると、先輩はくすっと笑い、頷いた。
「じゃあ、週末にでも遊びに行こうか。行き先はお前が決めていいぞ。」
心が躍る。そんな日常が、あっという間に色鮮やかになっていく。
「お約束だよ。」
約束の日、待ち合わせ場所に着くと、先輩の姿が見えた。それに気づいた修斗は、なぜか緊張してしまう。様々な思いが頭をよぎる中、先輩は微笑みながら近づいてきた。
「今日は何をするか、決めてる?」
「えっと、一緒にお好み焼きを食べに行こうと思って!」
「おお、いいな。それじゃあ、行こうか。」
そんなやり取りをしながら、彼らの距離はますます近づいていく。自然と共に過ごす時間は、心を温め、二人の間に新しい感情を芽生えさせていった。
ある日、帰り道にふと手が触れ合う瞬間があった。気まずさを感じながら、お互いの目を見つめる。先輩の笑顔が、どこか甘やかで優しい。
「先輩、練習に参加するたびに、本当に楽しくて嬉しいです。」
「俺も、修斗と過ごす時間が楽しいよ。」
その言葉に、修斗は思わず顔を紅潮させた。静かな心の中で新たな感情が波立ち、甘い期待が膨らんでいく。
ある日の放課後、二人は屋上で静かな時間を過ごしていた。その時、佐藤先輩が横に座り、静かに修斗を見つめる。
「修斗、実はお前に言いたいことがあったんだ。」
「え、何ですか?」
ドキドキしながら、修斗は先輩を見つめる。期待と緊張が交錯する瞬間、佐藤先輩は照れたように微笑んだ。
「お前のこと、俺はずっと気にかけてた。だから、新しい学期のうちに、もっと仲良くなりたいと思ってるんだ。」
心臓が大きく跳ねる。修斗は胸の奥が温かくなるのを感じた。
「私も、先輩と一緒にいたいです。」
修斗がそう答えると、先輩はゆっくりと彼の顔を見つめ、その後柔らかな笑顔が広がった。
「それなら、一緒に行動しようか。」
二人の関係は、まだ始まったばかり。新たな感情が芽生え始めた甘い瞬間が、これからも続くことを感じさせた。未来を予感させる余韻と共に、夕暮れの光が彼らを包んでいた。