# 幼なじみの恋は再会から
桜の花びらが舞う春の日、陽光がまぶしい新学期の始まり。自転車をこぎながら高校へ向かう翔太は、心の奥に不安を感じていた。全く知らない環境に飛び込むことになるからだ。
「やっぱり緊張するなぁ……」
思わず呟いたその言葉に、澄んだ声が応えた。
「翔太! 久しぶり!」
その瞬間、翔太の心臓が跳ね上がる。振り向くと、子どもの頃のままの笑顔で手を振る悠斗が立っていた。彼は小学校時代、いつも一緒に遊んでいた幼なじみだ。翔太は思わず自転車を止め、目を見張る。
「悠斗! どうしてここに?」
悠斗はにこりと笑い、せっかちな様子で言った。「俺もこの高校に転校してきたんだ。運命だね!」
「さっそく運命って言う? それじゃあ、運命が何度も巡ってくることになるよ(笑)」翔太は微笑む。
悠斗は大笑いし、「確かに。でも、俺は翔太と再会できて嬉しいんだ!」
その瞬間、翔太の胸はじんわりと温かくなった。幼い頃の思い出が蘇り、二人の距離が一気に縮まるのを感じる。
学校に着くと、悠斗は翔太のそばを離れず、入学式中もずっと彼の横に座っていた。翔太は悠斗の存在に心が和むのを実感していた。
「ねえ、翔太。放課後、どこかで遊ぼうよ」と悠斗が提案する。
翔太は一瞬戸惑いながらも、嬉しさでいっぱいだった。「もちろん! どこに行こうか?」
放課後、二人は近くの公園へ向かった。翳る夕日の中、悠斗は懐かしい話をしながら、翔太に笑いかける。
「覚えてる? 小さい頃、俺たちで秘密基地を作った時のこと」
「ああ、段ボールハウスね。雨でびしょびしょになったのに、まだ居たよね!」翔太も思わず笑顔になる。
そんな話をしているうちに、夕暮れの空に星が一つ、また一つと現れた。悠斗が星を指差しながら言った。「ほら、あの星。あれは、俺たちの秘密基地の星だよ!」
翔太はその言葉に少し赤面し、「恥ずかしいけど、嬉しいね」と素直に返した。
悠斗は真剣な顔で翔太を見つめ、言った。「翔太はいつも俺の一番の友達だけど、最近はもっと特別な存在になった気がするんだ」
翔太は驚いた表情を見せた。「特別って、どういう意味?」
悠斗の視線は真剣さを増し、心の隙間を埋めるように言葉が続く。「それは、俺が翔太を…もっと好きになったからだよ」
その瞬間、翔太の心臓が大きく跳ねた。自分の気持ちを認めたくないと思いつつも、悠斗の言葉が心の奥深くに響く。
「俺も、悠斗のことが特別だって思ってた。嬉しいけど、こんなこと言ってもいいのかな……」
「もちろん! 俺たちは何でも話せる関係なんだから」と悠斗は微笑んだ。
その笑顔に引き寄せられるように、翔太は心の中の葛藤を一瞬忘れた。これが彼がずっと求めていた瞬間なのかもしれない。二人の距離が縮まり、静かな夜空の下、言葉を交わすことすらためらいそうになる。
その夜、二人は気持ちを確かめ合うことはなかったが、心が通じ合った気がした。翔太の心に、悠斗の存在がますます深く刻まれていく。
数日後、運動会が近づくにつれ、二人の心もまた近づいていった。特に悠斗の真剣な眼差しや、一緒にいるときの自然な振る舞いは、翔太を優しく包み込んだ。その日は特に晴れ渡り、笑顔が溢れる中、翔太は悠斗の手を軽く掴んだ。
「ほら、早く行こうよ! 競技が始まるよ!」
悠斗はニコッと笑い、「翔太がいるなら、どんなことでも楽しいよ!」と答えた。その言葉に、翔太は嬉しさと少しの恥ずかしさを感じつつ、心からの笑顔を返した。
運動会が終わり、二人で帰る道すがら、ふと足を止めた。悠斗が翔太の顔を真剣に覗き込み、「翔太、俺たち、これからもずっと一緒だよね?」と訊ねる。
「もちろん! 俺たち、約束だもん」と翔太は思わず頷いた。悠斗と顔を見合わせた瞬間、心の中で更に深い感情が広がるのを感じていた。
夕日の中、彼らの影が長くなり、未来へと続いていく。これからの関係がどのように変わっていくのか、二人には未知の世界が広がっていた。それは何よりも楽しみなことだった。
その日、翔太は思った。悠斗の笑顔の中に、自分の未来があるのだと。これからの二人に、どんな冒険が待ち受けているのか。翔太の心は、これまで以上に高鳴っていた。終わりのない青春の物語は、まだ始まったばかりなのだ。