小説

幼馴染の再会

# 幼馴染の再会

春の暖かな日差しが、学校の校庭を照らしていた。新学期が始まり、校内は新しい友や期待に満ち溢れている。その中で、一際目立つのは転校生の陽太だった。陽太がクラスに入ってきた瞬間、教室内がざわついた。彼の姿には、どこか懐かしい影が重なった。

「えっと、陽太です。よろしくお願いします。」

少し緊張した様子で自己紹介をする陽太。真っ白なシャツが清潔感を醸し出し、柔らかな栗色の髪が日差しに輝いている。その姿に、恭介は心の中でドキリとした。

(あれ?この感覚は…)

幼い日の思い出が脳裏に蘇る。かつての親友、陽太。しかし、その日は明るい再会とはいかなかった。数年の時間が二人の関係を変えてしまったように感じた。

放課後、恭介は勇気を振り絞り、陽太に話しかけることに決めた。彼の座っている机に向かうと、緊張のあまり心臓がドキドキしていた。

「陽太、久しぶりだね。」

「恭介!本当に久しぶりだね。」陽太は驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔に変わった。その瞬間、恭介の胸が少しだけ和らいだ。

「もう、何年ぶりだろう?」

「小学校以来かな。すごく懐かしいね。」

ふっと陽太の目が輝く。恭介はその瞬間、かつて感じていた特別な想いが蘇ってくるのを感じた。あの sunny boy が、また目の前にいる。彼に何が起こったのか、それが気になって仕方なかった。

「最近どうしてたの?」と恭介が尋ねると、陽太は小首をかしげた。

「引っ越しで少し忙しかったけど、新しい学校で頑張ってるよ。」

二人は無邪気な頃の思い出に花を咲かせた。運動会の話や、放課後に遊んだ冒険の話…。その中には、恭介が陽太を特別に思っていたことが溢れていた。しかし、不安な気持ちも同時に芽生えた。

(また、あの頃のように友達に戻れるのかな。)

その日から、恭介と陽太は以前のように一緒に過ごすようになった。ある日の帰り道、公園のベンチで二人は一休みしていた。夕暮れが近づくと、周囲がオレンジ色に染まっていく。

「恭介、最近なんか変わった?」と陽太が問いかけた。

恭介は思わず言葉を失った。心の中の葛藤が渦巻いている。どうしてそんなことを聞いたのだろう。陽太の視線が、まるで深い海のように恭介を捉えて離さない。

「俺…なんかおかしいかな?」

「だって、恭介の目、いつもより輝いてる気がする。なんとなく嬉しいから。」陽太は笑顔で言った。その笑顔に、恭介は思わず顔を赤らめた。

(こんなことを思うのは、俺だけなのだろうか)

日々が経つにつれ、二人の距離は縮まっていった。放課後の帰り道、恭介は陽太と並んで歩くことが増えていく。彼の隣にいるだけで、心が躍るような高揚感があった。

ある日、夕暮れの中、恭介は思い切って陽太に手を差し出した。自分でも驚くほど大胆な行動だった。しかし、陽太はその手をそっと受け入れ、じっと恭介を見つめた。

「これは、何なの?」

「友達以上、かな。」恭介は恥ずかしさを押し殺して続けた。「俺、陽太といるときが一番楽しいんだ。」

「恭介…そんなこと言ってくれるの?」陽太は目を輝かせ、少しだけ口元を緩めた。その表情に恭介の心は一気に温かくなった。

その瞬間、恭介は自分の気持ちをはっきりと理解した。共に過ごした日々を思い返し、再会の意味が明らかになる。彼の心の中には、幼馴染への恋愛感情が深く根付いていたのだ。

「これからも、ずっと一緒にいたいと思ってるよ。」

「私も、ずっと恭介の側にいたい。」陽太は静かに微笑んだ。

その言葉を聞いた瞬間、恭介の心の中の静かな波が大きく揺れた。彼らの関係は、ただの幼馴染から新たな一歩を踏み出したのだ。この小さな一歩が、彼らの未来を変える可能性を秘めていると感じた。

夕暮れの公園で、二人の手はしっかりと繋がれたまま、何も言わずに静かな時間を過ごした。周囲の音が遠のき、二人の心の中だけが響き合っているような感覚があった。

未来はまだ見えないが、彼らの心には新しい感情の種がしっかりと根付いていた。余韻の中で、二人の物語は始まったばかりだった。