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ライバルに恋する学園祭

# ライバルに恋する学園祭

「お前、また順位落としただろ?」
学園の廊下で、由紀は不敵な笑みを浮かべる拓也をじっと見つめた。毎年恒例の成績発表の日、由紀はクラスのトップを守ったものの、拓也は一歩手前の位置にいた。
「落としたなんて言うなよ、ただのスパイスだよ。成績表なんて、人生に何の意味がある?」
拓也は肩をすくめた。彼の自信満々な態度を見るたび、由紀のイライラは募る。成績を軽視するその言動が、彼の自信の源なのだ。

「なら、お前が学園祭の実行委員をやることになったのも、意味がないってことか?」
由紀が引きつった笑顔で返すと、拓也は一瞬目を丸くした。
「な、何言ってるんだ。俺は全然やる気だよ。実行委員長だし!」
「それがどうした。どうせまた適当にやるんだろ?」
「お前、俺のことを何も理解してないな。」拓也は口を尖らせて反論したが、内心は焦りを感じていた。実行委員の責任を果たすためには、仲間が必要だからだ。

「だったら、協力しようか?」
ふと、由紀の提案が拓也の耳に入る。
「協力?なんで俺がそんなことをお前と?」
由紀は笑顔を崩さずに肩をすくめた。
「お前がいなくては進まないプロジェクトだって知ってるからだよ。お前の班のメンバー、信者(しんじゃ)しかいないじゃん。」
「信者って何だ、俺はただの人気者だろ!」
「はは、たまには真剣にやらないと、また順位落とすぞ。」

その言葉に逆らうことはできなかった拓也。学園祭の準備に迫られ、二人は渋々手を組むことにした。
「でも、同じ役割で協力し合うわけじゃないぞ。俺は責任を持ってやる。」
由紀は頷く。「じゃあ、俺はお前のサポート役でいいや。」
「そんな感じなら、まあ、悪くないかもしれない。」

その日から、由紀と拓也は学園祭の準備で顔を突き合わせる日々が始まった。
「これさ、もうちょっとカラフルにした方が良くないかな?」
拓也が描いたポスターに色を加える由紀。彼の手つきに目を細める拓也。
「こういうのが、色々と流行ってるらしい」と由紀は説明する。
「ん、いいね。由紀、お前のセンス、意外といいじゃん。」
「意外って何だよ。普通に褒めろ。」

日が経つうちに、二人の会話は冗談ばかりになっていった。
「これ、本当に学園祭のポスターか、なんかの漫画の表紙にしか見えないんだけど。」
「お前のセンスが悪いからだよ。ちゃんと俺の言うこと聞け。」
「お前の言うことなんか聞きたくない!」
「なんだそりゃ。協力する意味ないだろ。」
「やっぱり、お前と組むのは最悪だ。」

皮肉を言い合いながらも、二人の距離は少しずつ近づいていった。思いがけない共同作業が、ライバル心だけでなく、他の感情も育て始めていることに気づき始めたのだ。
「お前、成績だけじゃなくて、こういうのもできるじゃん。ちょっと嬉しいよ。」
拓也の言葉に由紀は驚く。
「お前が嬉しいって、どういう意味だ?」
「いや、由紀が楽しそうだから、俺も嬉しいってこと。なんでそんな難しく考えるんだよ。」
「まあ、確かに楽しいかもしれないけど。」
心の中に広がる甘い感情を隠すように、由紀は俯いた。

学園祭当日。体育館が色とりどりの装飾で飾られ、二人はその中心に立っていた。
「すごいな、いい感じになったな!」と拓也がはしゃぐ。
「まあ、頑張った分は報われたのかな。」
その瞬間、拍手が沸き起こる。二人は同時に顔を見合わせ、微笑んだ。
「やっぱり、一緒にやってよかったな。」
そう言った拓也の目は輝いていた。由紀も心が温かくなるのを感じた。

「でも、次からはお前に頼みたくないかも」と由紀は冗談交じりに言う。
「なんでだよ?俺、結構役に立っただろう!」
「まあ、確かに。だけど、ライバル同士、喧嘩しながらやった方が楽しいだろ?」
「くそっ、なら次も頼んでやる!」
二人は再び笑い合い、手を合わせた。その瞬間、互いの心に芽生えた感情を感じた。

学園祭が終わり、二人は校門の前で一息ついた。
「楽しかったな。」
「そうだな。また一年後に、同じことをやってみるか?」
拓也の微笑みを見て、由紀はなんとも言えない高揚感を覚えた。
「もちろん。あんたのサポート役、まだまだ必要だろ?」
「その答えは予想できなかったな。」
二人の間に流れる空気に変化が訪れる。互いを意識し始める瞬間。

「じゃあ、またな、由紀。」
拓也はフラッと後ろを向いて去って行った。
由紀はその背中を見送りながら、もう一度自分の気持ちを整理しようとした。
「俺たち、相変わらずだな…。」
思わず微笑む由紀。余韻の中で、彼の心にも新たな期待が生まれる。

運命のいたずらか、ライバル同士はいつしかそれ以上の関係に近づきつつあった。次の学園祭も、きっと二人で迎えることになるだろう。