小説

秘密の恋、同居の甘さ

# 秘密の恋、同居の甘さ

桜井と優斗の関係は、他の誰にも知られていない秘密だった。彼らは社内の先輩後輩という立場でありながら、実際には同じアパートで暮らしていた。

「なあ、優斗。今日の仕事はどうだった?」
桜井がリモートワークをしながら、優斗に電話をかける。優斗はキッチンでお湯を沸かしながら、少し緊張した声で答えた。

「いつも通りでした。桜井先輩は?」
その声に、桜井はふっと笑顔になる。優斗の真面目なところが大好きだった。
「俺も。なんか、優斗の声を聞いたら気分が良くなったな。」

電話越しの距離感は、いつも以上に心地よかった。優斗の頬が少し赤くなる。若干の緊張が彼の心臓を早めさせる。

「桜井先輩も、気を使わなくていいんですよ。私たち、同じ屋根の下にいるんですから。」
優斗は少し照れながら言葉を選ぶ。彼の素直さが、桜井の心をさらに引き寄せた。

「そうだな。優斗がいるから、仕事も頑張れる。」
桜井の言葉に、優斗は心の底から嬉しさを感じた。お互いの存在が、二人の生活に色を与えていた。

それから数日後、二人は彼らの「秘密」を少しずつ楽しむようになった。共通の趣味である映画鑑賞では、ソファで密着しながら、時折指が触れ合うことが心を弾ませる。

「次は何を観る?」
映画が終わった後、優斗が少しドキドキしながら問いかける。

「お前の好きなの、何でもいいよ。」
桜井は笑いながら、優斗の目をじっと見つめた。優斗はドキリとして視線を外す。

「じゃあ、ロマンティックコメディとかどうですか?」
自信なさげに提案する優斗だが、その表情には期待が見える。桜井はその表情を積極的に受け止めた。

「いいね、優斗の選ぶ映画なら間違いない。」
桜井が言うと、優斗は安心して微笑んだ。

こうして、二人は映画を観ながら互いに感想を言い合い、時には少しだけ手が触れることで心の距離を縮めていく。

ある夜、優斗は仕事の疲れからか、ソファでうとうとしていた。桜井はその姿を見て、思わず優しく笑う。彼は優斗の隣に座り、その肩に自分の頭を寄せた。

「優斗、無理はするなよ。」
桜井の声に優斗は少し驚いて目を覚ました。

「すみません……なんだか、安心しちゃったみたいです。」
優斗は少し恥ずかしそうに言った。

「優斗がいるから、俺も安心してるんだ。」
桜井の言葉に、優斗の心が温かくなる。思わず自分の手を桜井の大きな手に重ねた。

「この時間、ずっと続けばいいな。」
優斗は小声で呟いたが、桜井にははっきりと聞こえた。その言葉に驚きつつも、桜井は心の中に広がる希望を感じ取った。

「俺も、そう思う。」
その言葉が二人の距離をさらに近づけた。そして、彼らはこの関係の未来を少しずつ描き始めていった。

しかし、月曜日が近づくにつれ、二人の心には不安が芽生え始めていた。社内の人々にこの関係がバレるのではないかという恐れが、二人を包んでいく。

「もし、周りに知られたら……」優斗は不安げに言葉を続ける。「私たちの関係、どうなってしまうんでしょう。」

桜井はその言葉にしばらく考え込む。優斗との時間は何よりも大切だったが、周囲の目も無視できない。
「でも、隠れていることで二人の絆が強くなるのかもしれない。」桜井は思わず口にした。優斗は少し驚いて彼を見つめる。

「本当に、そう思ってるんですか?」
その問いに、桜井は真剣な目で返した。

「俺は、優斗がいるから頑張れるって心から思ってる。だから、あとは二人で乗り越えよう。」
優斗はその言葉を胸に刻み、未来への希望を膨らませた。

二人の生活は新たな一歩を踏み出したが、それは同時に試練でもあった。仕事の合間に小さなサプライズを用意したり、息抜きに一緒に出かけたりと、地道に絆を深める努力をしていった。

「優斗、お前の笑顔が一番好きだ。」桜井がふとした瞬間に言う。優斗はその言葉に心臓が高鳴り、思わず顔を赤らめた。

「私も、桜井先輩の笑顔が好きです。」
桜井はその瞬間、優斗の手を優しく包み込んだ。

時は流れ、彼らの関係は周囲にも徐々に感じさせるようになっていた。微妙な変化や視線、そして小さな仕草が愛情を物語る。

数ヵ月後、ある日、二人は無事にその気持ちを公にする決意を固めた。互いの手をしっかりと繋ぎ、心を一つにして外の世界に踏み出していく。

「これからも一緒に、二人で歩いていこう。」桜井は優斗に微笑みかける。優斗はその言葉に胸がいっぱいになり、頷いた。

「はい。私も、ずっと一緒にいたいです。」
その瞬間、二人の心は一つに繋がっていた。周囲の視線がどうであれ、彼らの思いは変わらないのだ。

そして、微笑む二人の背中は、まだ見ぬ未来へと向かっている。彼らの新たな物語は、今、始まったばかりだった。