小説

秘密の同居、甘い時間

# 秘密の同居、甘い時間

東雲亮介は、同じ職場の先輩・藤崎湊と、あるきっかけから秘密の同居を始めることとなった。二人はそれぞれの生活を持ちながらも、心の奥深くで強く惹かれ合っていた。ある日、亮介のアパートが急に水漏れを起こし、次の住処が見つかるまで湊の家に身を寄せることになった。

「亮介、こっち来て。手伝ってくれない?」

湊の声が、煮えた鍋の周りで響く。キッチンから漂う香ばしい香りに、亮介の心はそわそわしていた。湊の料理はいつも美味しく、特に彼の得意料理は亮介の大好物だった。

「はい、すぐ行く!」

亮介は湊の後ろに立ち、肩を寄せて温かい汁物を味見する。ふと、湊の頬に触れた。

「ちょ、亮介!急に触らないで!」と、湊が驚きながら笑った。

「ごめん!つい、その……」

二人は同居を通じて少しずつ心の距離を縮めていく。濃厚な時間が、いつしか彼らの間に流れ始めた。

ある晩、リビングで二人並んで映画を観ていた。お気に入りの作品を選んだものの、亮介は湊の肩に頭を預けるのが心地よく、物語に集中できなかった。

「亮介、ちゃんと映画観てる?」

湊がくすっと笑うと、亮介は小さくため息をついた。「うん、観てるよ……でも、湊先輩がいるから、ちょっと緊張しちゃって。」

その言葉に、湊は赤面しながら笑った。「緊張しなくていいよ。もっとリラックスして。」

その時、湊の手が亮介の手の上に軽く重なった。亮介は驚いて目を見開くが、湊はそのまま微笑んでいる。亮介の鼓動が速くなり、全身に温かい感覚が広がった。

「先輩の手……温かいね。」

亮介がそう呟くと、湊は少し困ったように視線を逸らした。「そ、そうかな?亮介も温かい。」

二人のやりとりは、まるで待ち望んでいた甘さが心に広がっていくようだった。沈黙が続く中、互いの気配が溶け合い、その沈黙さえも愛おしいものに感じられた。

「どうしよう、こんなに近くにいるのに……」と、亮介が思い切って言った。

「なんだよ、亮介?」湊が彼を見つめ返す。

「もっと、先輩に触れたい気持ちが膨らんでいく。」

その言葉に、湊の眼差しは一瞬固まったが、次第に柔らかくなった。「俺も、そう思ってた。でも、こんなこと言ったら亮介に引かれたらどうしようって……。」

亮介は胸が高鳴るのを感じつつ、湊の手を優しく握った。「引くわけないじゃん。湊先輩が好きだって、ずっと思ってたから。」

呼吸が一瞬止まる。そして、湊の顔は少し赤く染まった。

「亮介……お前なぁ、そんなこと言ったら、俺ももっと好きになっちゃうだろ。」

その言葉が響くと、二人の心はますます近づいていった。互いの存在が温かく溶け合い、すべてが特別なものに変わっていた。

数日後、ふたりの間で特別な約束が交わされた。「これからも、一緒にいよう」と。君と過ごす毎日は、何にも代えがたいものだと感じたから。

こうして、秘密の同居から始まった二人の物語は、厚い信頼と愛情で満たされていく。しかし、彼らがそれを公にすることはまだできなかった。互いに想いを抱えながらも、その気持ちは静かに流れ続けた。

「好きだよ」と言い合える日も、そう遠くないのかもしれない。

そんな淡い希望を胸に、湊は窓の外を見つめた。月明かりが照らす道を歩く亮介の姿が、今とても愛おしい。彼が隣にいることは、偶然ではなく運命だと信じられるようになった。

ここから始まる新しい物語。彼らの心は、これからも一緒に歩み続けるだろう。甘い時の流れは、途切れることなく続いていく。