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先輩と後輩の秘密の同居

# 先輩と後輩の秘密の同居

春の訪れと共に、新しい学期が始まった。校舎の窓から差し込む陽射しは心地よく、どこか期待感を抱かせる。そんな中、後輩の渚(なぎさ)は先輩の蓮(れん)がいる部室へと足を運んだ。

「先輩、いらっしゃいますか?」
ドアをノックすると、心臓が高鳴るのを感じる。部室の中から先輩の微笑ましい声が返ってくる。

「おー、渚!ちょうど今、部活の準備をしてたところだよ。」
蓮は部室のテーブルに広がった資料を整理しながら、彼を迎え入れた。

その瞬間、渚は蓮の笑顔に心を奪われた。先輩の優しさが、いつでも自分を包み込んでくれるように感じた。

「何か手伝うことがあれば言ってください。」
渚は自発的に声をかける。

「ありがたいけど、今日は大丈夫かな。むしろ、渚のことをもっと知りたいな。」
蓮はニヤリと笑い、少し意地悪な響きを添えた。

その言葉に渚はドキリとした。先輩が自分に興味を持ってくれるということは、特別なことのように感じられた。

「実は…」
渚は少し躊躇いながら口を開く。「一緒に勉強したいです。」

その言葉に、蓮は目を輝かせた。「いいよ!じゃあ、僕のアパートに来る?」

こうして、二人の秘密の同居が始まった。蓮のアパートはこぢんまりとしていて、無機質な家具が並ぶ中にも彼のセンスが見え隠れしていた。渚は心のどこかが高鳴るのを感じていた。

「ここ、すごく落ち着く。」
渚はソファに腰掛けて、周りを見渡す。

「そうだろ?一人だと静か過ぎるから、誰かに来てもらえるのは嬉しいんだ。」
蓮はにっこりと笑いながら、隣に座った。

勉強をしながら、二人の距離は徐々に近づいていく。お互いに触れ合わないよう配慮しつつも、その緊張感は奇妙に心地よかった。

「先輩、これ分からない。」
渚は問題を指さし、蓮に答えを求めた。

「ほら、ここをもう少し詳しく見てみよう。」
蓮はその問題に絡みつくように、渚の視線を受け止めながら丁寧に説明した。

その瞬間、渚は先輩の温かい息遣いを感じ、心がドキドキと跳ねた。彼の言葉が耳に心地よく響き、思わず目を細める。

「本当に、先輩の教え方は上手ですね。」
渚は心の中のすべてを重ねて告げた。

「ありがとう。でも、渚ももっと自信を持ってほしいな。」
強い眼差しでそう言われると、渚は思わず頬を赤らめた。

「私も…頑張ります。」
彼の言葉に、心が満たされていくのを感じた。

その日々は続き、二人の間に生まれる感情は徐々に変化していった。渚が洗い物をしていると、後ろから蓮が近づいた。

「何か手伝うことある?」
蓮の声は柔らかく、渚の心に響いた。

「大丈夫です。先輩は座っていてください。」
渚は少し照れながらそう答えた。

「でも、一緒にやりたいな。こうやって一緒に過ごせるのが、凄く楽しいから。」
蓮はほんのりと笑い、彼の手元に自分の手を添えた。

その瞬間、彼らの指が触れ合った。二人の心に流れる時間が、特別なものへと変わっていくのを感じた。

「先輩、私も…楽しいです。」
渚はドキドキしながら言葉を続けた。「一緒にいると、心が落ち着くし。」

「そう言ってもらえると、嬉しいな。」
蓮は渚の眼差しに微笑み返す。その笑顔が、渚の心の奥まで染み込んでくる。

その後も、二人は勉強をしたり、軽くおやつを分け合ったりして、自然な流れで楽しい時間を過ごした。蓮の支えは、渚に自信を与え、彼をいつの間にか大切に思わせる存在に変わっていった。

「明日も、また来ていい?」
蓮の言葉に渚は思わず頷く。「もちろん、来ます。」

彼らの秘密は、互いの心の中で静かに育まれ、甘い思い出として響いていた。

その夜、渚はふと夜空を見上げた。星々がキラキラと輝き、心の中のドキドキは少しずつ静まっていく。自分の中にある気持ちが、先輩に対する特別なものであることを、ようやく自覚し始めていた。

「私、これからも先輩と一緒にいたい…」
彼のそばにいる存在が、こんなにも大切だと思えるなんて。渚は心の中で、静かに願った。

その願いは、春の柔らかな風に乗せられ、彼の心の中で大きく育っていくのだった。

二人の秘密の同居は、甘い余韻を残しながら、これからも続いていく。