# 禁断の恋と青い春
桜の花びらが舞う春の校庭は、色とりどりの制服に包まれていた。放課後、静けさが戻った教室で、折原俊介は自分の机に向かい、静かにノートを広げた。隣には、彼の担任、高橋恭平がいた。冷静な表情の裏には、優しさが潜んでいる。
「おい、俊介。そんなに真面目に勉強して、何になる?」高橋がふいに声をかけ、その笑みには少し悪戯っぽい雰囲気が漂っていた。
「勉強しなきゃいけないでしょ!」俊介は少し顔を赤らめながら答える。心の中には、高橋への特別な感情が静かに渦巻いていた。
「お前、まるで俺の生徒じゃなくて、親友みたいだな。」高橋が肩をすくめて言った。
「そんなことないよ!」俊介は心の中で「親友どころか…」と思い悩むが、その言葉は口に出せなかった。
「じゃあ、少し休憩でもしようぜ。」高橋がそう言って弁当を取り出すと、俊介はただ頷く。二人の間には、微妙な緊張感が流れていた。
「これ、美味しい? 俺の手作りだぜ。」高橋は弁当を俊介に差し出す。
「うん、うまい!」俊介は目を輝かせて褒める。高橋の手料理に感動したのは、味だけでなく、彼の心遣いが伝わってきたからだった。
「お前、単純だな。」高橋が笑う。
「それが俺の取り柄だもん。」俊介は笑顔で返したが、その心の中にはもっと深い想いが潜んでいた。
時間が経つにつれ、二人の距離感は微妙に変わっていった。そして、俊介の中には高橋への「禁忌の恋」の感情が明確に芽生え始めていた。
ある日、放課後に一緒に帰ろうと高橋が言った。その提案に俊介は胸の鼓動が高まった。
「どうする?一緒に帰るか?」高橋が挑戦的な笑みを浮かべる。
「うん、ぜひ!」俊介は嬉しさを抑えきれず声を上げた。
二人は校門を出ると、陽の光の中で並んで歩く。「これからどうする?」高橋がふと振り返る。
「特に何もないけど…」俊介は高橋と過ごす時間が何より特別だと感じていた。その想いを告げたいが、言葉が出ない。
「じゃあ、うちに来ないか?」高橋が思い切った提案をする。その瞬間、俊介の心はドキリとした。
「う、うん…いいよ。」緊張しながらも、嬉しさがこみ上げる。
高橋の部屋に着くと、俊介は「どうなるんだろう」とドキドキしつつ期待に胸を膨らませていた。高橋がリビングでお茶を入れている間、俊介はその背中を見つめていた。
「お前、緊張してるのか?」高橋が振り向いた。
「そんな、ことないよ!」俊介は答えるが、その言葉には少しの嘘が混じっていた。
高橋は笑い、「じゃあ、リラックスしよう。」そう言って二人はお茶を飲みながら、自然と会話が続いた。
「俊介、お前って意外とお調子者だな。」高橋が茶目っ気たっぷりに言うと、俊介は恥ずかしさで顔を赤くした。
「そんなことないよ…」彼の反論は続かなかった。互いの視線が一瞬交わり、心の距離が少しだけ近づいた気がした。
その日の夜、高橋が何気なく言った。「お前がいると楽しい。」その言葉は、俊介の心に優しく響き渡った。
「俺も…恭平といると楽しい。」俊介は勇気を出して、ようやくその気持ちを吐露した。
「なら、これからも一緒にいような。」高橋がほほ笑む。
その瞬間、俊介は彼に抱かれるような温もりを感じた。しかし、教師と生徒という禁断の立場には大きな壁があることを痛感し、彼はその思いを押し殺さなければならないと感じた。
翌日から、二人の関係は少し変わっていった。会話の中に流れる微妙な空気感、触れる手指。高橋の優しさが、俊介の心をますます揺り動かした。
日々の中で、二人は学園生活を共に楽しみながら、お互いの心に秘めた想いを大切にしていく。時折交わす目がぎこちなく、それがまた甘美な思い出として心に刻まれていった。
高校生活が終わりに近づく中、俊介はこの関係が続くことを切に願う。しかし、教師と生徒という禁じられた恋の影がちらついていた。
「一緒にいられて良かった。」高橋の言葉が俊介の胸に響く。これから先、どうなるのかは分からない。でも、彼に出会えたことが今の俊介にとって一番の幸せだと心から思えた。
そして彼らは、新しい春を迎える。心に秘めた想いは残り続け、しばらくの間、この日々が続くことを願って。