小説

秘密の同居は甘い香り

# 秘密の同居は甘い香り

高橋優一は、会社の先輩である佐藤直人と、思いもよらぬ秘密の同居を始めることになった。入社以来何度も助けられてきた優一は、彼に対して特別な感情を抱いていたが、仕事の関係からその思いを心に封じ込めていた。しかし、突然の事情で佐藤のアパートの一室が空き、優一は自分の気持ちを隠したまま、同居生活に踏み出すことになったのだ。

「これから一緒に住むことになるけど、よろしくな、優一」

佐藤の柔らかな笑顔に、優一は緊張がほぐれるのを感じた。その言葉には、どこか安心感があった。

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

優一は返事をしながら、心の中でドキドキしてしまった。普段は真面目で厳しい印象の佐藤が、プライベートの顔を見せることに興奮を覚えた。

同居が始まると、日常の中で少しずつお互いの距離が縮まっていった。佐藤は料理が得意で、優一の好きなカレーを作ってくれた。

「口に合うか心配だったけど、どう?」

「美味しいです!こんなに上手に作れるなんて、先輩すごいです!」

優一は思わず笑顔になり、佐藤も嬉しそうに微笑む。そんな瞬間に、優一は自分の気持ちを改めて考え始めた。

ある晩、ふとした拍子に優一は佐藤の後ろに座り込んでしまった。テレビの画面に映るお笑い番組を見ながら、優一はその背中に手を伸ばし、軽く叩いてみる。

「おい、なんだ、そのいたずらは!」

佐藤が振り向くと、二人の目が合った。優一はドキリとした。近くで見る佐藤の目は、いつも以上に柔らかく、優しい。

「ごめんなさい、先輩。つい、反応が面白くて…」

「お前は本当に素直だな」

佐藤はそのまま優一と目を合わせ、心の奥底を見透かされているような不思議な感覚に襲われた。優一は自分の気持ちを認めざるを得なくなった。佐藤を好きだと。

同居が続く中で、二人の間には甘い空気が漂っていた。特に夜、仕事を終えて帰ったときの静かなひとときが心地よく感じられるようになった。

「優一、最近どうだ?仕事は慣れたか?」

「はい、先輩のアドバイスのおかげで、なんとかやっています」

優一は自分の頑張りに誇りを持ち、同時に佐藤がそばにいることで心強さを感じていることを実感した。彼に対する思いが深まる中、いつしか二人の距離は、言葉だけではないものに変わりかけていた。

ある日、洗濯物を干している最中、優一は思い切って尋ねてみた。

「先輩、私たちの関係について、どう思いますか?」

その問いに佐藤は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに柔らかな笑みを浮かべる。

「優一はどう思う?」

「私…先輩のことが好きです」

優一の言葉と同時に、佐藤の表情がふわりと変わる。心の中にあったものが見えるようだった。

「俺もだよ、優一」

その言葉を聞いた瞬間、優一の心臓は早鐘のように鳴り始めた。互いに想い合う気持ちが確認され、その瞬間、彼らの関係は再び進化していく。

「どうしよう、これからはもっと一緒にいよう」

優一の提案に、佐藤は肩をすくめつつ笑った。

「いいよ、優一がいると毎日が楽しいから」

こうして、二人の秘密の同居は新たな一歩を刻み始めた。無邪気な日々の中に、甘い香りが漂い続ける。彼らはこれからの未来を、静かに楽しみにしていた。

日が経つにつれて、優一の心に広がる甘さは、二人の日常の中でますます色濃くなっていった。優一は、佐藤との秘密の時間をゆっくり楽しむことができる幸せを感じていた。

そんな彼の心に、いつしか新たな種が芽を出し始めていた。甘い思いは彼らの未来への期待となり、心の奥深くで静かに育まれていたのだ。

「明日はたこ焼きパーティーでもするか」

「はい!楽しみです!」

二人の声が響き合い、優しい余韻が静かに残る。無邪気な笑い声が、夜の静けさの中に溶け込んでいく。これからも続く甘い日々を思い描きながら、優一はそっと目を閉じた。