小説

秘密の同居、甘い日常

# 秘密の同居、甘い日常

新しい季節が訪れ、桜が満開の頃、大学生の健介は憧れの先輩、藤井との秘密の同居を始めることになった。藤井は優しく、頼もしい存在であり、健介は彼に特別な想いを抱いていたが、それを言葉にする勇気はなかった。

「おい、健介。どこにいる?」

藤井の声が階下から響く。健介は急いで冷蔵庫の前を離れ、リビングへと向かった。今日は二人で夕食を作る予定だ。心拍数が少し高まる。

「ここだよ、先輩!」

リビングのドアを開けた瞬間、健介の胸が高鳴った。藤井は白いエプロンをつけ、家庭的な姿で食材を切っている。思わず笑みがこぼれる。

「気をつけろよ、包丁使うのは難しいからな。」

「はい、わかってます!」

健介はその言葉に応えながら、藤井の隣に並ぶ。二人の距離が近く、心の中にドキドキが響く。普段は職場で真面目な顔しか見せない藤井が、家では穏やかな表情を見せる。その姿に健介は心惹かれる。

「健介、これを手伝ってくれ。」

藤井が切った野菜を鍋に移す役目を健介に頼む。慎重に受け取りながら、藤井の視線を感じて顔が熱くなる。先輩との距離を縮めたいという想いが広がっていく。

「どう?味は大丈夫そう?」

藤井が鍋の中のスープをすくい、味見をする。その瞬間、健介は思わず目を奪われる。藤井の食事中の姿はどこか色っぽく、心を打たれる。自分も試してみたくなる気持ちを抑え、健介は首をかしげた。

「もう少し塩を足したほうがいいかも。」

「そうだな、じゃあ塩を足すから見ててくれ。」

藤井はサッと塩を振りかけて味を整える。健介はその姿を間近で見られる歓びに、思わず息を飲む。料理は進み、テーブルには温かい食事が並び、心地よい空気が漂う。

「いただきます!」

健介が声を合わせると、藤井も自然に笑顔を返す。その瞬間、健介の心の奥にあった想いが少しずつ形になり始める。食事中、藤井の優しい声や笑い声を聞きながら、心の中の想いを吐き出せずにいた。

「健介、次の休みの日に少し出かけないか?」

藤井の言葉に、健介の心がぱっと明るくなる。思ってもみなかったお誘いに内心動揺しつつも、嬉しさに満ちた声で応える。

「はい、行きたいです!」

二人の目が合い、健介はその瞬間、時間が止まったように感じた。藤井の優しいまなざしは、健介にとって何よりの幸福だった。心地よい安らぎの中、夜が更けていく。

夕食後、健介は台所を片付けながら、藤井との関係がどう変わっていくのかを考えた。近づいている距離の中で、不安と期待が交錯していた。

「健介、手伝ってくれる?」

藤井が後ろから声をかけ、健介の肩に手を置く。その温もりに、心が再びドキドキと高まる。

「うん、手伝う。」

少し照れくさく、でも嬉しい。健介は自分がどれだけ藤井に惹かれているのかを再確認した。この感情をどうにかしたいと思いつつ、同時にこの瞬間を大切にしたいと願っていた。

「今度の休み、海に行こうか。」

「海ですか?いいですね!」

その瞬間、健介の胸は期待で膨らむ。海と共に、藤井との新たな思い出が形作られようとしていた。それは、健介にとって特別で、一生の思い出になるだろう。

「楽しみだな。」

藤井の言葉に、健介は柔らかな感情に包まれる。友達以上の関係へと進むことができるのだろうか。心の中でそっと願いを込めた。

日が経ち、海の日がやってきた。陽射しがまぶしく、青い海が広がっている。健介は藤井と並んで砂浜を歩きながら、彼の温もりを感じていた。

「見て、波が来る。」

藤井が指さす先に広がる美しい景色に、健介は心が洗われるような思いだった。

「うん、すごい綺麗だね。」

「ここに来てよかったな。」

藤井の言葉には、本心が込められているように感じる。心に秘めた想いが少しずつ、二人の心の距離を縮めていく。

「先輩、私、先輩のことが…」

言いかけた瞬間、藤井が振り向いて笑った。

「わかってるよ、健介。」

その瞬間、健介の心は光に満ちる。言葉を超えた、二人の心が通じ合っている感覚。藤井の腕が健介の肩に回り、自然に背中を押されるようにして、健介は心の扉を開くことができた。

「俺も、健介のことが好きだ。」

一瞬の静けさの後、二人の心は一つになった。海の波音の中で、彼らは新しい関係を築くことを決めた。背中を合わせるように寄り添い、波の音を聞きながら、健介の心にはかすかな余韻が残った。幸せな未来がじわじわと広がっていくのを感じていた。

彼らの思い出は、これからもずっと続いていくのだろう。健介は、藤井と共に歩む道を心から楽しみにしていた。