# 秘密のシェアハウス
春の柔らかな日差しが校庭を照らす中、後輩の健二は新学期に向けて気持ちを新たにしていた。しかし、彼には思わぬ展開が待ち受けていることを、まだ知らなかった。
「おい、健二、ちょっと来い!」
そう声をかけてきたのは、同じクラスの先輩、直樹だった。直樹は男らしい体格と優れた運動神経を持ち、学校でも一目置かれる存在だ。
「何ですか、先輩?」
健二は少し緊張しつつ直樹のもとへ寄り添った。先輩と話す機会は滅多にないため、心臓がドキドキする。直樹はいつも明るい笑顔を浮かべていて、つい目を奪われる。
「今度、俺の家に遊びに来ないか?実は、同居しているルームメイトが急に出て行くことになって、部屋が空いてるんだ」
直樹の提案に、健二の心臓はさらに速く鼓動を打ち始めた。
「え、でも、家に行くのは…」
健二は言葉に詰まる。直樹と二人きりの空間が想像できず、少し照れくさい気持ちがわいてきた。
「大丈夫だって、気楽にしろよ。遊びに行く感覚で来てほしい。飯も作るし」
直樹は微笑みながら、健二を安心させようとした。
その言葉に、健二は小さく頷いた。「じゃあ、行きます…」
心の中では期待と不安が交錯していた。
数日後、健二は緊張しながら直樹の家のドアをノックした。ドアが開くと、直樹が笑顔で迎えてくれた。
「おう、来た来た。中に入れ」
直樹が健二を部屋に招き入れる。周囲を見渡すと、シンプルなインテリアだが、先輩らしく片付いている。
「ちょっと待っててな。料理するから」
直樹は台所に向かい、健二はソファに腰を下ろした。彼は先輩の後ろ姿を見つめながら、安心感と同時にドキドキする気持ちを抱いていた。
「健二が来てくれたから、頑張って作るぞ!」
直樹の声が台所から響く。彼の料理の腕前が気になるところだ。
「先輩は料理が得意なんですか?」
健二は声を張って聞いた。
「まあ、母親に教わっただけだけどな。あ、できたぞ!」
直樹は自信満々に皿を持って戻ってきた。見た目も美しいその料理は、健二の食欲をそそった。
「いただきます!」
健二は料理の美味しさに感激し、思わず笑顔になった。
「おお、気に入ったか?」
直樹は嬉しそうに微笑んだ。
「うん、すごく美味しいです!先輩、すごいですね!」
褒められた直樹は、照れくさそうに頭を掻いた。
「やっぱり、料理は褒めてもらうのが一番嬉しいな」
直樹は満足そうに自分の皿を片付けながら言った。
食事を終えた二人は、そのままリビングでおしゃべりを続けた。話が進むにつれ、お互いの距離が縮まっていく。健二は、直樹と一緒にいることがこんなにも楽しいとは思わなかった。
「健二、お前って本当に面白いな。いつも真面目そうに見えるけど」
直樹が心の内を言うと、健二は照れ笑いを浮かべた。
「そう見えますか?でも、先輩の前では、少し自由になれている気がします」
そう言った瞬間、健二は自分の言葉に恥じらった。
「自由か、いいな。俺も健二といると、なんかリラックスできる」
直樹は少し照れた様子で言った。お互いの心が少しずつ近づいていくのを感じる。
その後も二人は日々を共に過ごし、学校の帰りには一緒に勉強したり、ゲームをしたりする時間が増えていった。直樹の家が、健二にとって特別な場所に変わっていくのを実感していた。
「先輩、最近なんだか無駄に休みの日に遊んでいる気がします」
健二は少し笑いながら言った。
「無駄じゃないだろ。お前も楽しんでるし、俺も充実してる」
直樹は真剣に答えた。その柔らかな視線が、健二の心を温かくする。
「そうですね、楽しいです。本当に、先輩といると心が晴れます」
健二が真剣な目で直樹を見つめると、直樹は少し照れくさそうに笑った。
「それなら、これからも一緒に過ごそうな」
直樹の言葉に、健二は心の奥で温かいものが広がるのを感じた。
ある日、健二は思い切って直樹に尋ねてみた。
「先輩、私たち…このまま、ずっと一緒にいてもいいですか?」
その問いかけは、健二の胸の中にあった不安を取り去り、新たな一歩を踏み出す決意をもたらした。
直樹はしばらく黙って考えた後、真剣な表情で答えた。
「もちろんだ、健二。そのつもりでいたから」
その瞬間、二人の心の距離が一気に縮まったのを感じた。
季節が進むにつれて、彼らの秘密の同居生活は少しずつ形を変えていく。直樹は健二に対して無邪気に接しながらも、より深い感情が芽生えているのを自覚していた。そして、健二も同じ気持ちを抱えていた。
ある夜、二人はリビングで月を眺めながら静かな時間を共有していた。
「このまま、時間が止まればいいのにな」
直樹がぽつりとつぶやくと、健二は思わず頷いた。
「そうですね、先輩といると時間がゆっくり流れる気がします」
その言葉に、直樹は微笑んだ。
「これからも、ずっと一緒にいような」
直樹の言葉は、健二の心に響いた。何気ない一言が、彼にとっての特別な約束となった。
これからも続くであろう日々の中で、二人はお互いの存在をかけがえのないものとして受け入れていく。その瞬間から、彼らは少しずつ未来へ向けて歩き出すのだった。